公立中からの難関大受験
更新日:2022年5月21日
こんにちはOne Bridge アカデミーです。
今回は主に公立中に通う人や子どもを通わせている、または通わせていた保護者の方へ向けの内容です。
最後に難関大を目指すような、上昇志向の高い公立中高の生徒に向けたアドバイスもあります。
2021年度の大学入試が終了し、各媒体で大学合格者数ランキングが出ています。
どこの高校からどれだけ有名大学に進学したのか、というランキングです。
ネットにも情報は転がっていますので、まずはそちらを御覧ください。
このようなランキングのほとんどは、東大や国立医学部をはじめとする超難関大学における合格者数についての指標ですが、学校・塾関係者はこの数字を学校や学生の実力の指標として重要視しています。
なぜならこの数字が大きいほど、MARCHなどの有名大学に対する合格率も連動して高いからです。
もちろん上位の学校ほど下位の大学を受験する人自体が減りますので数としては出ないはずですが、それは進学する気が無いだけで受験すれば受かる、という状態です。
ですから超難関大学に対する合格力は、下位の大学に対する合格力とも概ね連動すると想定されます。
このような指標の中でも特に取り沙汰されるのが東大合格者数です。
その理由は東大が最難関であること。
また国立大学であるが故に、発表される合学者数と進学者数がほぼ同数であるからです。
私立大学は一人が複数回受けることができますから、30名合格と発表されていても実際に学校内で合格した人はその半分の15人といったことが起こります。
私立大は「名」と「人」が大きく違うんですね。
実際に2007年に、学校側が受験料を負担して成績が優秀な生徒に73回受験させ、合格者数を水増していたという問題が発覚したことがあります。
こういったことから情報として信頼できる東大合格者数を重要視するのです。
さて、ランキングではズラっと有名高校が並んでいるかと思います。
上位のほとんどが有名な中高一貫私立・国公立高校です。
ただし注意点として、数だけでなく率を見るようにして下さい。
生徒の数の多さ、浪人生の多さによって数は簡単に変動させられてしまいます。
そうです。
東大合格者の大多数はこれらの高校から輩出されています。
東大の入学者は毎年約3000人です。
その3000人のうちの1200人がトップ20の高校によって占められています。
これは占拠率で言えば相当な割合です。
全国に高校は5000校あり、そのうちの20校が東大の40%を占めているのです。
所得で例えてみると分かりやすいでしょうか。
これはたった0.4%の人々が富の40%を占める状況です。
前に『世界がもし100人の村だったら』という本が話題になりましたが、あの本にあるような富の分布の話と似ていますね。
"それは東大だけでしょ"と考えないように注意して下さい。
先に述べたように、東大の合格者数は、その学校の実力・生徒の実力です。
したがって、東大に限らずとも上位の大学はこれらの学校が合格者、もしくは潜在的な合格者を占めています。
ランキングの中で埼玉はというと県立浦和高校が唯一トップ20に入っています。
東大46(現役25)人は間違いなく全国トップレベルの名門高校です。
埼玉県では別格の存在ですね。
埼玉の他の高校は、大宮高校が13(現役8)人、栄東高校12(現役11)人、開智高校8(現役8)人と続きます。
大切なことなのでもう一度言いますが、大切なのは率です。
県内トップの浦和高校でも現役生の合格は25名のみです。
合格人数的には東大合格47名の海城高校と同等ですが、海城高校はうち43名が現役であり、しかも学年の人数自体も少ないです。
高校3年次の学力という観点で言えば、県立浦和高校ですら有名な中高一貫私立には完敗なわけです。
というわけで本題に入ります。
今回の本題は「公立中出身者は大学受験で勝てないのか」です。
正確なことを言うのであれば、そんなことはありません。
学校全体で見れば前述の通り、有名な中高一貫私立は進学という点で本当に強いです。
しかし一方で公立中から現役で東大に進学する人も多数いるわけです。
小学校時代に勉強していない、という大きなビハインドを覆すだけの才能の持ち主です。
そういった人は有名な中高一貫の私立に通うほとんどの人よりも高い学力を有しているでしょう。
ですがまぁそんなスゴイ人の話をしても大多数の人にはあてはまらないので、今回は多くの人にあてはまるであろう、難関大学進学を意識する普通の公立中高生とその保護者の方に向けた今後の過ごし方についての内容です。
ところで皆さんは『二月の勝者』という漫画をご存知でしょうか。
中学受験が題材の漫画で、とても面白いです。
現在ドラゴン桜が話題ですが、受験物は人間ドラマが面白いですね。
『二月の勝者』もドラマが10月から始まるみたいです。
HPの柳楽優弥さんがイメージにピッタリすぎて笑いました。
この漫画には"親の狂気"という言葉が出てくるのですが、言い得て妙だと思います。
正に中学受験の大変さを表す言葉です。
「武士道と云(い)ふは死ぬ事と見つけたり」という言葉が有名な江戸時代の書物『葉隠』には、このような言葉も書かれています。
「本気にては大業ならず」
本気とは正気のことです。
つまり正気のままでは大きなことは成し遂げられないと言っているのです。
僕は武士ではないのでそこまでは思いませんが、中学受験経験者やその保護者の話を聞くと、難関中学合格という正に大業のための狂気の沙汰エピソードがポンポンと出てきます。
単純な体罰なんて当たり前の世界がそこにはあります。
合格のために、気が狂っているのではと思うほどに勉強する(させられる)小学生が世の中には沢山いるのです。
そしてそういった子達のさらに一部が先程の合格者ランキングのトップ校に受かっていくのです。
彼らの勉強量は、大学受験生と比較してなんら遜色ありません。
平日5時間、休日10時間、そんな勉強を何年もするのです。
しかも発達において重要な時期である小学生の時期に、です。
大変な受験の後にも、過酷な競争があります。
彼らは彼らのような優秀な子を集めた学校で周りのライバルに打ち勝つために、中1から決して近所にはない東大進学を謳うハードな塾にはるばる通い、互いに鎬を削ります。
こういった子たちと、高3という同じ時期に戦わなければならないのが大学受験です。
だから公立高校のトップでも勝てないのです。
公立中の1年生と、私立中高一貫校の中学1年生とでは既に大きな差ができており、先へ先へと進むカリキュラムによって高校入学時点ではさらに差が開いています。
高校の3年間をもってしても簡単には巻き返せない差ができてしまっているのです。
それは県立浦和高校に入学するほど中学時代に勉強した人であっても浪人しなければ時間が足りないという程の差です。
少し前に県立横浜翠嵐高校が高校入学者に渡したプリントが話題になりましたが、まさにプリントの通りです。
公立高校から難関大へ合格するのは相当な"覚悟"が必要です。
公立中から難関大学に合格することがどれだけ難しいことなのか、ご理解いただけましたでしょうか。
あまりに本人の意志を軽視する強制的な学習には、様々な意見があると思います。
しかし難関大受験では、ここまで述べてきたような厳しい世界で研鑽を重ねた人達と戦わなければならないという現実は変わりようがありません。
世の中は成功体験にあふれています。
失敗した人は自ら進んで失敗体験なんて語らないからです。
しかし現実には中学受験未経験者による難関大受験は本当に大変です。
では希望はないのでしょうか。
名門中高一貫校に高校から入学した人や私立中から公立高校に入学した人など、一部例外を含みますが、希望となる数字は、東大合学者における非中高一貫校出身者の割合です。
正確な数値は見つかりませんでしたが、それはどうも約30%と言われているようです。
つまり全入学者の約30%は全国の公立中の出身者と言えそうです。
この30%には、トップ20に入っている県立浦和高校なども含まれています。
30%という数字はそこそこ大きな割合です。
公立中から難関大学へ進学する人は、数としては「結構いる」と言って差し支えないと思います。
ただ公立中出身者が世代の約90%ということを考えると、額面通りに受け取ってはいけませんが。
これだけ受験競争の激しさを述べたわけですから、そう思えないかもしれませんが、無論我々はこの数字に希望を抱いています。
公立中の子も、望む進路に進めるのだと信じているから教えています。
実際に公立中出身の教え子が難関大に合格していますので、もはや確信していると言えます。
具体的に公立中出身者の何が足りていないのか。
中高一貫校の子と何が違うのか。
これは散々言われていることですが、進度の差がその違いを生んでいると私も思います。
先取りして一通りのインプット作業を終えた後、じっくりアウトプットに取り組める中高一貫校と、そうではない公立中・公立高校の差が進学実績の差となっているのです。
友人や教師といった環境の差もあるでしょう。
一部の中高一貫の私立高校は、入試問題に高校範囲の知識を前提としているような問題を出題します。
入試問題は、「この問題を解ける子に入学してもらいたい」という学校からのメッセージです。
ですから私には、そういった中学範囲を逸脱する問題を出題する学校は"公立中学校の学習内容を3年間もかけて習得してしている人はいらないよ"と主張しているように思えます。
公立中出身者が難関大学に合格しようと思うのであれば、相当に自分を鍛えて学校ではやらないようなことまでを習得しておく必要があるでしょう。
また学校の定期試験で何位だったとか、そのような小さな視点でいてはいけません。
なぜなら同じ学校の大多数の人は、難関大受験のライバルではないからです。
学校外部の模試に基準を置き、そこで好成績を収めるためには何が必要かをよく考え、実行しましょう。
それができれば、高校での3年間で中高一貫校の生徒に追いつくことができると思います。
3年間という期間は、受験という範疇においては十分に長い期間です。
では結論を述べたいと思います。
「県トップレベルの公立高校に合格する水準の実力があれば、難関大学合格も可能。
しかし難関大学を目指すライバルと比較し、不利な状況にあることに自覚すべし」
こんなところです。
最後に公立中の方へのメッセージを送りたいと思います。
公立中から難関大学への進学を考える人は、文字通り死ぬほど勉強しましょう。
意識していなかったと思いますが、君たちと同じように難関大を目指す同学年の人たちは、君たちが遊んでいた間に"狂気"に取り憑かれたかのように勉強していました。
その上、今も厳しい環境で勉強しています。
彼らと対等に戦うためには、彼らの努力を上回る努力をしないと追いつけません。
中学の間に高校の勉強をするような、普通ではないほどの勉強をしましょう。
そうすればきっと目標は実現します。
今回は以上です。
それでは失礼します。
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