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渡邉

慶應義塾志木高校に合格しました

更新日:2023年7月2日

こんにちは One Bridge アカデミー です。



前回に引き続き、今年度の高校入試の結果報告です。

最後にピックして紹介するのはA君です。

A君は新中1次の春期講習からの生徒であり、当塾のイズムを一身に浴びながら育った生徒です。

そういうわけで彼の受験は、我々にとって経過を記すべき受験と言えると思います。

A君の成績推移については、過去何度かご報告してますので該当記事をご参照ください。



タイトルになっていますが、A君の進学先は慶應義塾志木高校(以下は慶應志木)です。

慶應志木に合格することはA君の悲願であり、この結果は我々にとってもA君にとっても、大団円と言えるものだったと思います。



結果としては最上の結果に終わりましたが、例の如く、すべてが上手くいったわけではありませんでした。

むしろ彼の受験過程については、中3の夏から合格に至るまで、常に絶望の淵に立たされていたといっても差し支えない状況にありました。

学校の成績こそ、定期試験は常に上位で評定も44と優秀でしたが、外部の模試で十分なスコアが出せなかったのです。

慶應志木のレベルともなると、北辰テストの結果はそこまでアテにはなりません。

出題される問題のレベルや受験者層が異なるからです。



最上位の高校の入試は、簡単めな問題で何点取れるのかという、言い換えるとミスしないことを求められる試験ではなくなります。

レベル帯に応じた学校ごとの一定の水準の問題が多くを占め、それらをミスをしないことを前提として、その上で難しい問題をどれだけ解けるか、という加点法的な側面を持つのです。

ですから、そういった入試問題を想定した外部模試が、志望校と現時点との距離を測るためには適しているのです。

このような外部模試で合格ラインに達しませんでしたので、我々講師陣にとって慶應志木は現実的な志望校とはできず、いわば第0志望とも言える立ち位置でした。

実際にA君が一般入試で慶應志木に合格する可能性は高くなかったと思います。

いずれにせよ一般入試は受験していないので、結果がどうであったかはわかりません。

ただ、自覚的には上位校チャレンジ気質の我々が"難しい"と判断したということは、一般的にも相当厳しいと思います。

このような経緯から、我々はA君が公立の浦和高校に合格することを我々の最優先目標としました。

この判断は間違えていなかったと思います。



では、慶應志木ではなく浦和高校ならば順当に合格できたのかと言うと、そう簡単にはいきません

まず前提として、公立入試、とりわけ学校選択問題採用校の入試では国・理・社の得点が極めて重要です。

上位校限定にも関わらず、学校選択問題は英語で60点、数学で50点程度が平均となる試験です。

この2科で他の受験生と大きく差をつけることは容易ではありません。

ですから、学力検査と問題の変わらない国・理・社でいかに高得点を取るかが重要であり、逆に、国・理・社で点数差をつけられてしまうと挽回できないということです。

合格に必要な点数のうち、社会で5点を取る労力と、数学で5点で取る労力が大きく異なるのです。

中でも、理・社は暗記が大きな比重を占める試験ですから、十分に対策をすれば90点以上は比較的容易に狙えます。

実際に県立御三家クラスでは、国・理・社は90点以上が当たり前の世界でしょう。



A君はもともと私立を志望していたこともあって、英・数については何とかなる状況でした。

しかし、公立入試は5教科の均等配点です。

その土俵で他の受験生と対等に戦うには国・理・社の得点が全く足りていなかったのです。

まぁそれも仕方ありません。

私立志望だったために理・社の勉強は定期試験前ぐらいしかやっていませんでしたから。

定期試験のためにやっていたその場しのぎ程度の勉強では入試問題レベルには太刀打ちできません。

ですから志望校を浦和高校とした時点から、大急ぎで理・社の勉強を開始し、それが間に合えば合格できる...といった状況でした。

幸いA君は一夜漬けで何とか定期試験範囲の勉強を切り抜けてきましたから、密度の高い勉強は得意です。

公立入試の受験日までに、合格点に達する可能性は五分五分といったところでした。



しかしA君は慶應志木をどうしても諦めきれませんでした。

そこで、A君が選択した道は、慶應志木の自己推薦入試でした。

慶應志木の自己推薦入試は、ペーパーテストだけでなく、面接やディスカッションを通して「自ら考える人(原文ママ)」であるかどうかを評価する入試形式です。

ペーパーテストだけで判断されないこの入試形式であれば、合格の可能性があります。



しかし、この入試を受験スケジュールに組み入れるとしても、当塾としては慶應志木が第0志望であるというスタンスを我々は変えませんでした。

自己推薦型の入試は必ずしも楽な入試形式というわけではありません。

相応の準備をすることなしに合格することはできません。

特に、慶應志木のレベルの自己推薦ともなると、一芸に秀でていたり、確固たる意思や目的、経歴を持つ受験生ばかりが集まりますから、よほど光る何かを持っていなければ突破できない試験なのです。

また自己推薦入試は、試験方法の独特さから、合格可能性を見積もることが困難という問題もあります。

ペーパーテストであれば、学力から合格可能性を推し量ることができますが、それが難しいのです。

ですから、「受かればラッキー」といった位置づけの試験であることを彼には口を酸っぱくして伝えました。

受験をすることは止めないし、支えるが、不透明な自己推薦入試よりも勉強すれば確実に合格に近づく公立入試を重視すべきだと。

自己推薦入試に期待を持ちすぎて、落ちてしまったときの反動から勉強できなくなってしまっては元も子もありませんから。



しかし受験する以上は、準備をしなければなりません。

A君には慶應志木で胸を張れる程には特別な技能や実績がありませんでしたので、志望理由書などを他の受験生を圧倒するレベルで作り込まなければなりませんでした。

それも理・社の勉強に集中しなければならない状況下で、です。

1分もムダにできない中で、膨大な時間を要する資料の作成がどれだけ負担であったか容易に想像できるかと思います。



いざ志望理由書の作成が始まると、予想通り作成は困難を極めました

刻一刻と受験が近づく中で、志望動機や自己分析、入学後に学びたいことをまとめきらなければなりません。

志望動機などの提出資料には、正解や不正解こそありませんが、それに近しいものは確かにあります。

何度書いてもそれに全く近づいていかないのです。

我々も、安易に書くべき内容を教えません。

こういった資料は自分で作成してこそ意味があるものです。

人のつくった資料を提出して書類選考を通ったとしても、面接は通過できません。

面接で借り物の資料を元にして語る、もとい騙ると、どうしても薄っぺらさが出てしまい、そういった薄さを面接官は見逃しません。

ですから、あくまでも自力で、悩みに悩み抜いて書き上げるべきなのです。



ああでもないこうでもないと何度も原案をつくり直し、何度も周囲の人に添削を求めながら提出書類は少しずつ完成に近づいていきました

ですが、資料作成のために費やした時間は予定をオーバーしていました。

オーバーした分だけ浦和高校の合格可能性を減らしたわけですから、1月頃は本人はもちろん我々の焦りもピークに達していました。



いざ資料が完成したら、次に面接の準備が必要です。

提出した書類の完成度から、一次選抜の書類が通過しない可能性は低いと判断し、面接対策にもある程度の準備時間を割り振りました。

しかし、こちらの準備も順風満帆とは言えず、苦労の連続でした。

結局、面接対策は不十分なままで勝負の日を迎えることになりました

しかしまぁ、勝負とはそういったものだと思います。

大きな勝負というものは、どんなものでも準備万全な状態で臨めるものではありません。

不十分な状態であることを自覚しつつも、出せる力を出し切ってぶつかっていくしかないのです。



そして実際に彼は見事にやり切りました

書類選考・学科試験・グループディスカッション・面接を突破し、合格したのです。

志望理由書などを作成する過程で、高校に進学することの目的や、それが慶應志木でなければならない理由を明確に固められたからこそ、二次選抜も乗り越えられたのだと思います。

本番の試験ではアクシデントがあったようですが、話を聞いてみればアクシデントにも上手く対処できていたと思います。



本当によく頑張りました。

慶應志木はほぼ全ての生徒が慶應大学へと持ち上がりますので、学部にこだわったり、別の大学を希望したりしない限り、この受験で大学受験までを終えられたことになります。

これが付属校の大きなメリットですね。

受験した本人であるA君も、また彼の可能性を信じて受験方針を決め、サポートし続けたご両親にも拍手です。



A君にとっては人一倍泣いて、辛かった3年間だったと思いますが、この3年間の努力が実を結んでよかったですね!

この受験という経験は君の将来をきっと明るいものとしてくれるでしょう。

思う存分高校生活を楽しんでください!

これからもよろしくお願いします。






さて総括したいと思います。

全員がベストとも言える結果を出せたこと、それは我々にとっても大変喜ばしい結果でした。

我々のやってきたことが間違えていなかったと、彼、彼女らが結果でもって証明してくれました。

A君を含め、受験生たちの悲願達成の一助となれたことを、誇りと感じます。

来年度の受験生たちの受験も成功に導けるよう、邁進していきたいと思います。


それは失礼します。

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