倍率という幻想
更新日:2022年5月23日
こんにちはOne Bridge アカデミーです。
今回は倍率とは何かということについて説明していきたいと思います。
倍率には3種類あります。出願倍率と受験倍率と実質倍率です。
倍率3倍とは3人に1人が合格するということです。
〇出願倍率
出願者数÷募集人数です。100人募集の学校に300人が出願した場合は3倍となります。
出願時点での倍率ですので、参考程度です。今年も例えば栄東中学校で45倍程度と速報が出ています。
他の中学校で合格が出たので試験自体をパスするといったことも受験スケジュール上、一般的ですので、最大の倍率数値が出ます。
〇受験倍率
受験者数÷募集人数です。100人募集の学校で250人が受験した場合は2.5倍となります。
受験者数とは実際に受験をした人数ですので、上に書いたように出願倍率よりも低下します。
〇実質倍率
受験者数÷合格者数です。100人募集の学校であったとしても、合格者はそれよりも多い人数となります。合格者数を募集人数よりも多くとるのは入学辞退者がでるためですが、合格者数を募集人数よりもどれだけ増やすかは学校によって異なります。トップレベルの学校では辞退者が少ないため、合格者数と募集人数がほとんど同じという場合もあります。一方で中堅校では募集人数の数倍~数十倍を合格者とするという場合もあります。
最も低い倍率が出ますが、実質という名の通り、この倍率が受験者にとって最重要の情報です。
さて、倍率について参考にすべきは実質倍率であると書きましたが、それも受験における情報の一つに過ぎません。世間的には倍率の高低が合格難易度であるかのように語られることが多いですが、それは誤りです。
受験者数と合格最低点の間には正の相関があるように思えます。しかし相関の程度はイメージよりも低いことである場合が多いです。
極端な例で考えると分かりやすいですが、
受験者数が1000人、合格者数が100人である場合、実質倍率は10倍です。A君は1000人の中で50番目の学力を有しているとすると、A君は合格します。
仮に受験者が増加して、2000人になったとします。実質倍率は20倍になりますが、この増えた1000人が全員A君より学力が低かった場合、A君はやはり合格します。A君の学力は50番目で変わらないからです。
実際には増えた1000人が全員A君よりも学力が低いということは考えにくいですが、それでもA君は上位5%の学力に位置していたので、追加で増える1000人の中にA君より学力が高いのは50人程度でしょう。その場合でもギリギリ合格できます。
さて結局のところ受験において大切なのは、自分が上から何番目の点数が取れるのかということのみです。順位だけが合否を決めます。
受験がランダムな抽選であれば倍率は非常に重要な指標になるのですが、一部の学校を除いて受験は学力勝負です。点数が高ければ合格できるし、低ければ不合格となる。それに尽きます。
自分の偏差値から志望する受験校を決めるということが一般的ですから、倍率がどれだけ高くとも受験する層はほとんど自分と大きく変わらないレベルの人です。ということは本番で容易に順位が上がり下がりします。倍率よりも遥かに当日のちょっとした出来具合が合否をわけるということです。
倍率の話は以上となります。
倍率なんて見なくていいとまでは言えませんが、気にしてもあまり意味のない数字であることは間違いありません。目の前の勉強を頑張り、本番で1点でも多くとること以上に大切なことはないですね。