中学受験の光と闇_その10
更新日:2022年5月23日
こんにちはOne Bridge アカデミーです。
今回も中学受験に関する内容です。
その1はコチラから
前回の記事はコチラから
6,偏差値について
今日は偏差値について述べたいと思います。
受験に用いられる学力偏差値は、受験前の段階で自身の母集団に対する相対的な学力を知るためにあります。志望校に落ちて泣く泣く高校浪人する中学生を増やすべきではない、というある中学校教員の思いから開発されました。
平均点を取ると偏差値50となり、大体偏差値30~70程度に数値が収まります。標準的なテストであった場合、偏差値60で上位15%、偏差値70で上位2%といった具合に概ねの自分のいる位置が分かり、各学校の偏差値と比較することで合否の可能性を判断することができます。テストの点数はテストの難易度によって大きく左右されてしまう上に、周囲との比較が難しい(周り数人との比較しかできません)ですから、その意味で偏差値は大変有益なものです。
中学受験においては、大手学習塾や首都圏模試センターなどが各中学校の偏差値を公表しています。多くの中学受験生やご両親はそれを見て志望校を選択することになると思います。
偏差値を志望校判断の基準に用いる上で注意点があります。それは上に述べているように偏差値は母集団によって左右されるということです。例えばある人がA塾の模試を受けたとして偏差値60だったとして、同じ人がB塾の模試では偏差値40をとる、といったことが起こります。それはA塾の受験者層のレベルよりもB塾の受験者層のレベルが高かったためです。簡単に言えばA塾に入ったら上位層だけど、B塾の中だと下位層だということです。
これは高校受験や大学受験でも同様ですが、今回は中学受験に絞って述べたいと思います。日本一受験者が多い埼玉県栄東中学の難関大クラスA日程(男子)の偏差値を例にしますと、
S模試:70/N:58/Y:57/S:50未満
というように偏差値20以上も受験者母体によって変化します。「偏差値○○」と一般に言われますが、どこの何の試験での偏差値であるかによって意味が大きく変わります。ご家庭での学習や中小の学習塾で中学受験を考えている方は注意して下さい。
続いて、同じ学校の中学受験の偏差値と高校受験の偏差値の違いについてです。
中学受験の偏差値と高校受験の偏差値は10~15違うといいます。中学受験での偏差値60の学校が高校受験では偏差値72といった具合です。塾・予備校によって公表される偏差値は変わりますので一概に言えませんが、全体としてそれぐらい違う数値になるということだと思います。その理由は以前の記事で述べました通り、母集団の違いによるものです。同世代の上位層が母集団となる中学受験における偏差値と、その他大多数の人が母集団となる高校受験では、合格に必要となる偏差値が異なるということです。また、高校受験には内申も関わってきますのでそれも理由の一つかと思います。
安直に、偏差値60の学校に行ければ高校時には偏差値72になる!ということではありませんので注意しましょう。中学偏差値60と高校偏差値72のどちらが楽であるかは分かりません。同じ学校ですので同程度と考えるのが良いのかもしれません。
今回の内容は以上です。
偏差値についてはまだ説明できていない部分が多いので後日書きたいと思います。