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渡邉

中学受験の光と闇_最終回

更新日:2022年5月23日

こんにちはOne Bridge アカデミーです。

中学受験に関するひとまず最後(?)の記事です。

今回は中学受験をさせる、中学受験をさせたご家庭の心得的な内容です。

今までの記事については下にリンクをまとめておきます。

最終回:ご家庭の心得

 

前回の記事で志望校について述べました。簡単におさらいをすると

中高一貫校の魅力は〈カリキュラム〉と〈周囲の環境〉にある

高偏差値の中高一貫校ほどそれらが充実している

中学受験するなら高偏差値の学校を志望した方が良い

という感じでした。さらに高偏差値の学校を志望する補足的な理由として、

◯入学した学校と同水準の大学に進学する人が多いから

◯難関校は最初からそこに合格するつもりでスタートしないと合格できないから

◯多大なコストをかける見返りになるから

これらを述べました。

~覚悟とは~

前回の最後に書いた、中学受験に必要な覚悟とは何かと述べますと、

ご家庭が子どもの受験に全精力を注ぐ

という覚悟です。

中学受験は「親の受験」とよく言われます。高校受験や大学受験と比較して、受験におけるご家庭の存在が大きいという意味です。

ほとんどの人は勉強が嫌いです。小学生ともなるとなおさらです。学校の周りの友だちが遊んでいる中で、受験の必要性を認識して進んで勉強できる子はほとんどいません。そんな我が子を強制的に勉強に縛り付けることが中学受験におけるご家庭の役割です。

それは塾の役割なのでは?と思われる方も多いのではないでしょうか。

確かにそれは塾の役割です。しかし塾に預けていれば受験は安心という心づもりで、ご家庭が本人の勉強にほとんどタッチしない場合、よほど本人が勉強に前向きでない限り難関校への合格は難しいです。

というのも大手中学受験塾は基本的に集団授業形式ですから、一人一人の生徒の学習時間や学習内容、定着度などを正確にコントロールできるわけではないからです。個別指導形式であったとしても十全とは言えませんので、集団指導形式であった場合はなおさらです。基本的に塾が提供するのは授業だけで、そして授業を受けるだけで成績が上がるということはありません。結局のところ自分で勉強する必要があります。

しかし小学生に自習が可能であるかというと、多くの場合難しいです。単純にサボっていたり、そもそも何を勉強すれば良いか分からない、既に分かっている問題をただ繰り返す、ノートをきれいにまとめることが目的化して暗記をしない、といった具合に効果的に自習をすることが小学生にはできないのです。

塾に行っているから勉強して賢くなっているだろうと安易に考えるのは危険です。小学生に限った話ではありませんが、上記のような身になっていない自習をしていると、塾に長時間行っていたとしても思うように成績は上がりません。

塾は自習を付きっきりで見てくれはしません。塾の講師たちには他の授業や、教材作成などの業務があるので、面倒見の良い先生でも時々勉強を見に来たり、質問を受けつけるといったことぐらいしかできないのが実情です。

勉強に乗り気でない子に、本人の意思に背いて勉強をさせるのはエネルギーが必要です。人的資源に限りがある以上、ご家庭の協力も頼りにせざるを得ないというのが塾の本音です。逆に「全てお任せ下さい」といった類の言葉は誠実でない可能性があります。

以上が中学受験を塾に丸投げできない理由です。

ではどうやって効果的に自習させるか。そこでご家庭の出番です。何をどれだけ勉強するのか、どの程度できるようになったのか、そもそもちゃんと集中して勉強しているかをご両親が自習を監督することで、自習の質を確保することができます。付きっきりとまでは言わずとも、一日のうち相当な時間を子供の勉強にあてたという体験談は実際に世に溢れるほどあります。

私の友人の例ですと、自宅での勉強中は常に両親のどちらかが後ろで構えていて、勉強中に集中力を欠いた際は棒で即座に叩かれていた。というものがあります。もはや坐禅の境地です。部屋の隅から発見された中学受験当時のプリントは、涙で濡れてパリパリになっていたそうです....

これはやや極端な例だと思いますが、そこまで熱を入れる家庭もまま見られるという競争の実態が中学受験業界にはあります。「教育ママ」という言葉はネガティブなイメージで捉えられることが昨今多いと思いますが、こと中学受験に関して言えばそのような姿勢で臨む必要があると感じられます。子供のしたくないことを強制し、必要があれば一緒に勉強して解説をしてあげる。自分や家庭の多くの時間を犠牲にする覚悟が無いと、そういったことをしているライバルには打ち勝てません。

以前述べたように、中学受験は将来に大きな影響を及ぼす大切な受験です。今回の記事でお伝えしたような役割と、責任の大きさから中学受験は「親の受験」と呼ばれているのだと思います。生半可な気持ちで始めると、ご家庭にとっても本人にとってもストレスが溜まり、結果的に後悔する可能性が高いです。

"中学受験に失敗しても公立中に行ける"という考え方もあるとは思いますが、中学で「受験に失敗したから公立に来たんでしょ」「あんなに勉強してもダメだったんだね」などと子供が周りから見られる可能性を考えない親御様はいないと思います。やはり受験する以上は何としてでも合格を勝ち取りたいものです。

いくら「親の受験」と言われはしても、結果を負うのは子供です。これから中学受験をさせるという親御様は、辛いことをするのだという覚悟をもって、受験で同じく大変な思いをする本人を、本人のために可能な限りサポートしてあげて欲しいと思います。

~既に中学受験を終えたという方へ~

無事に中学受験で希望通りの進路に進むことができたという方は、とりあえず一安心です。学校のカリキュラムについていくことができれば、学校の過去の進学実績に準じた大学進学が見えてきます。心配といえば、高校受験がないことによる中だるみが長期化することぐらいです。

一方で中学受験で満足のいく結果を得られなかった方、学校選びに失敗したと考える方は次の受験へ気持ちを切り替えましょう。

受験で失敗して自信がなくなった。勉強が嫌になった。というような声も耳にしたことがあります。しかし、くよくよして引きずっても仕方ありません。中学受験に失敗したとしても、まだまだリベンジの機会はあります。高校入試で志望校をもう一回受験をしても良いですし、系列の高校に入学しないという選択肢もあります。

心機一転して次の受験に向けた準備を早めにスタートし、今度は成功を収められるよう頑張っていきましょう。

ですが一度失敗した以上、原因と対策は考えるようにしましょう。今回の失敗を次回の成功に繋げられるよう、むしろ失敗して良かったと言えるよう、早めに準備を開始するのが良いと思います。

受験における失敗は、多くの場合が本格的な勉強を開始する時期の遅さに起因します。勉強、特に英語・数学については積み上げがものいいます。短期間で何とかできるものではありません。中堅レベルまでの問題程度であれば表面的な知識だけで対応することができるかもしれませんが、それ以上のレベルとなると全く歯が立たなくなります。ですのでリベンジを期すのであれば、少なくとも英語・数学は早いうちから大学受験を意識して勉強を開始しましょう。

これも以前述べたことですが、人は周囲の人に影響されながら成長します。周囲の環境が勉強に向いていない環境である場合は、それに引きずられて時間が経てば経つほど主体的に勉強をすることが難しくなります。その結果、受験を前にして「自分の通う学校であればコレくらいが普通でしょ」と自分を一定の範囲内に限ってしまう。このように自分の所属する学校を認知的不協和の解消手段として利用する性質は多くの人に当てはまるのではないでしょうか。これこそが学校の進学実績が毎年大きく変わらない原因の一つではないかと私は考えています。

そういった状況から脱して、中学や高校の例外となるのは簡単なことではないと思います。よほど意識を高く保たないと周囲と同化してしまうでしょう。周囲と馴染みつつも勉強面では一線を引く、それを本人の心持ちのみに期待するのは酷だと言えるかもしれません。環境の影響はとても大きいのです。

中高生にもなると、ご家庭の意志を本人に反映させることは難しいですから、本人の意識(特に高い目標を持つ意識)を形成する環境は、本来は学校や友人関係に期待されるべきものです。しかしそれが期待できない環境にある場合は、外部の環境、つまり予備校や塾を頼りにすることが一つの有力な選択肢であると思います。

塾や予備校に通うことは往々にして本人の意志に反するものです。しかし勉強する環境になくてはズルズルと楽な方へと流されます。それに歯止めをかけ、勉強を習慣として習得させる。そこまでの環境構築は、本人のためにご家庭がサポートできる範囲ではないでしょうか。そういった環境矯正とも言えるような役割を少なくとも当塾は自任しています。

細かい注意点として、特に私立中高一貫校に通っている場合、英語・数学は公立のそれと大きくカリキュラムが異なります。学習する単元の順番、その科目で扱う範囲、重点を置く分野、学校での教え方、それぞれ全く異なります。大学受験を見越した勉強を開始するのであれば、必ずしも学校のカリキュラムに沿って勉強する必要はありませんが、中高一貫校にせっかく通うのであれば、カリキュラムによる利点を少しでも受けるために学校の進度と並行して(もしくは先行して)学習することが望ましいと思いです。

そのため塾などを頼りにする際は、中高一貫校の特殊なカリキュラムや勉強を知る塾を選択するということに注意したほうが良いと思います。どの塾も「いやーうちの塾では無理です」とは言わないと思いますので、中々判断は難しいですが、今までに在籍した生徒の学校や先生の経歴などは判断の材料となるでしょう。

今回の記事は以上となります。

お疲れ様でした。

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