• 渡邉

MARCHは難しいのか

更新日:7月30日

One Bridge アカデミーです。



志望校を検討する時期です。


志望校を検討する上で、


旧帝

早慶

MARCH

日東駒専

大東亜帝国


などの枠組みをご存知でしょうか。

このような枠組みは、同レベル帯とみなされた大学をひとまとめに表すことで、目標ラインをひとまず決めることに役立ちます。

数多ある大学の中から、ある一つの大学に志望校を決めることは中々時間がかかりますし、悩む人も多いはずです。

そして目標が決められないと、何をやればいいか分からない...

となってしまい、中々受験勉強がスタートできないという事態も起こり得るでしょう。

そんなときにこの枠組を利用すれば、大体この辺りの大学に行きたいから「どれだけ勉強しないといけないのか」という当たりをつけることができます。

そういった意味でこのような枠組みは便利ですね。


実際的には本人だけでなく、

ご両親の「できればMARCHに進学してほしい」

採用面接時の「MARCHね、ほぅほぅ」

などと、ある意味人を評価する基準としても使われます。

最近では某大手就職情報サイトが「大東亜以下」などと就活生をグループ分けしていたことが炎上していましたね。

これは公然の秘密であったことが公になったというだけのことなのですが、学歴グループ用語が実社会で広く使われている、ということを明らかにしたという点で日本の学歴社会を象徴する炎上だったと思います。



このような枠組みに数えられている知名度の高い大学に入学することは、実利的なメリットを生みます。

例えば友達同士の会話で

「どこの大学行ってるの?」

「○○大学だよ」

「あ~あそこね!」

と通っている大学を相手に分かってもらえます。



このメリットを自己満足に過ぎないと過小評価してはなりません。

人には承認されたい欲求があるものです。

こういった何気ない会話の都度、

「それどこの大学?」

と聞かれることはストレスとなり、この類の会話自体を煩わしく思うようになるかもしれません。

自己肯定感はウェルビーイングのためにかかせないのです。



他にメリットを上げるとすると、"人と人とのつながり"でしょうか。

枠組みに数えられる大学は比較的大規模な大学ですから(大規模だからこそ数えられるわけですが)、必然的に同窓生が多くなります。

同窓生が多ければ、仕事をする上で取引先との折衝を任されたり、あるいは学閥のある企業において採用や出世の面で好影響をもたらすかもしれません。

かの有名な慶應大学の三田会は、この点で有名だったりしますしね。



要するに有名大学に通うことは将来的に社会生活を有利にする可能性があるということです。

しかし、上記のメリットに対して否定的な意見もあります。

学閥(の存在自体、あるいは必要性についての)や、大学の主たる存在意義である学問を軽視した学校選択に対する拒否反応などがそれにあたります。

これらの否定的意見は説得力があり、個人的には納得できるものが多いです。

しかし同時に、現実を無視した綺麗事のようにも感じてしまいます。

保護者の方々の多くが有名大学に我が子を進学させたいと考えるように、私も関わった生徒には「本人の届き得る大学の中で、可能な限り有名な学校に進学させてあげたい」と考えます。

もちろん理由は、その生徒が将来的に様々なメリットを享受できる可能性があるからです。


有名大に合格させようという当塾の考えを近視眼的だと非難する人もいるでしょう。

実際に学歴至上主義だと誹りを受けたこともありました。

しかしそれでも考え方を変えるつもりはありません。

そんな"たかが学歴"程度で生徒にみすみす嫌な思いをさせることは塾側の職務怠慢だと考えていますし、何よりも生徒の将来の選択肢を少しでも広げたいという思いは当塾の設立の根幹だからです。

学力は人間の多様な能力のほんの一側面に過ぎません。

だからこそ、教え子たちが学力という一側面だけで不当な扱いを受け、その他の能力を評価してもらえないという悲劇を我々は避けたいのです。


ただ矛盾するようですが、こういった大学の枠組みに囚われ過ぎるのもどうかという相反する思いもあります。

受験する本人が気に入った大学に進学することが何よりも望ましいのは間違いありませんから。

あくまでも「気に入った大学の中に有名大があるといいね」といった距離感でいることが望ましいのではないかなと思います。



 



さて、今回は数ある大学グループの中でもMARCHの難易度について述べたいと思います。

MARCHは教育委員会の報告書など公的な文章でも扱われることのあるグループですし、最も多くの受験生を集めるグループでもあるからです。



MARCHについては説明不要かと思いますが、念のため。

MARCHとは

M・・・明治大学

A・・・青山学院大学

R・・・立教大学

C・・・中央大学

H・・・法政大学

それぞれの大学の頭文字から作られた、都内の(準)難関私立大のグループです。


なお、MARCHについては

GMARCH(学習院大学をMARCHに含める)

SMART(上智・明治・青山・立教・東京理科大学)

などとする場合がありますが、今回は最も世間的に定着しているであろうMARCHを採用します。



それぞれの大学の偏差値については、学部、年度、試験方式、母集団によって大きく変動します。

ですので参考程度ですが



     河合塾偏差値

明治・・・57.5~65.0   

青学・・・52.5~65.0   

立教・・・55.0~67.5

中央・・・52.5~65.0

法政・・・50.0~65.0



となっております。

概ね偏差値60ぐらいと言われることが多いですが、文系学部(特に明治・青山・立教)についてはもう少し必要かなという印象です。


さて、偏差値60が上位何パーセントの成績なのか。

標準的な試験であれば、上位16%以上が偏差値60以上に該当します。

つまり、大学受験者の一般入試志願者の中の上位16%程の学力であればMARCHに合格する可能性がありそうです。

だだし大学に進学する割合は、同学年のうちの約60%です。


したがって

0.6×0.16=0.096

つまりMARCHに進学するには、世代のおよそ上位10%の学力が必要ということです。

これが一つの目安になります。

ただしこの割合は大学進学者の水準、浪人生の多寡、総合型選抜、入試科目数など様々な要素を排除した簡便な計算であることにご留意下さい。

以上から、MARCHに合格できるのは10人に1人と仮定します。



10人に1人とは、小学校の1クラスにつき3~4人といった数字です。

この割合はなんだかリアルに感じられませんか?

「あの子頭良かったなぁ」

となんとなく思い出せるような子がMARCHに合格すると考えられますね。



 


それでは本題であるMARCHの合格難易度を考える上での参考として高校別のMARCH実績を見ていきましょう。

以下にいくつかグラフを載せますが、

「偏差値50以上」

「埼玉県の公立高校」

「2022年度入試」

「現役生」

という4つの条件下で、学校公式HPから合格者数の判明している高校のみを抽出しています。

また、合格者数については指定校推薦・総合型選抜を含み、生徒数は入学年度の定員としました。

同条件のもとで比較するために標本数が少なくなっています。

あくまでも目安として考えていただければ幸いです。

どのグラフも横軸は高校偏差値です。




~MARCH合格率~




縦軸はMARCH合格者数を生徒数で割ったものです。

つまり生徒1名あたりの合格者数です。

一般的に合格者数は合格した生徒の人数と異なります。

例えば1人が3つ合格した場合には3名としてカウントされますので、実際に合格した生徒の人数は数値の半分程度と考えてよいと思います。


上のグラフから、概ね偏差値と正の相関があることが分かります。

特に偏差値65以上のレベル帯では如実に合格率が変わりますので、MARCHを目指すのであれば1つでも偏差値が上の高校に進学することが望ましいと言えるでしょう。


数値について言えば、生徒数よりも合格者数の方が多い高校は1校のみでした。

そもそも埼玉県はMARCH進学者数が全国的にトップクラスの地域です。

私立まで含めれば、市立浦和高校・大宮開成高校・開智高校・春日部高校がMARCH合格者数で全国のトップ10校に名を連ねています。

公立高校では市立浦和高校が飛び抜けて合格率が高く、1人あたり1.8は外れ値となっています。

一方で浦和高校の0.25は大変小さく、こちらも外れ値です。

浦和高校の場合はMARCHには進学せず、より上位の大学を受験するという浦和高校の生徒の傾向のためでしょう。



ところで"MARCHに受かる高校"というのは、各学校の生徒の上位何%の生徒が受かる高校のことを言うのでしょう。


成績上位50%の層が合格するのは、1人あたりの合格数が0.5必要です。

しかし生徒1人による合格数が2と仮定すると、

上記のグラフの1.0を上回っている学校が該当しそうです。

同様に考えると、


上位100%・・・2.0以上(0校)

上位 70%・・・1.4以上(1校)

上位 60%・・・1.2以上(1校)

上位 50%・・・1.0以上(1校)

上位 40%・・・0.8以上(6校) 偏差値68以上

上位 30%・・・0.6以上(11校)偏差値67以上

上位 20%・・・0.4以上(13校)偏差値65以上

上位 10%・・・0.2以上(18校)偏差値61以上


生徒1人あたりの合格数2という仮定では、上記のようになります。

個人的にはざっくりと"偏差値65以上の高校の上の方"という成績がMARCHに合格できる高校生を表すかな、という印象です。

それ以下の偏差値帯の高校では学校内のかなりできる子、あるいは例外的な存在と言えるかもしれません。




さて、次のグラフです。

~日東駒専合格率~




こちらはMARCH合格率と比較して正の相関がよりハッキリとしています。

単純に高校偏差値に対して合格率も上がっていきます。

偏差値71以上の高校は日東駒専の合格数を発表していませんのでデータがありません。


MARCH合格率のグラフと比較すると偏差値50台から右上がりです。

MARCHよりもチャンスの幅が広いと言えるでしょう。

偏差値と合格実績が如実に関係しているので、日東駒専に合格することが目標であるなら、MARCHを目標とする場合よりも入学する高校の偏差値には注意を払うべきです。





さて次のグラフです。

~日東駒専:MARCH~




縦軸はMARCH合格率に対する日東駒専の合格率です。

例えば縦軸の4は、日東駒専の合格率がMARCHの4倍ということを意味します。

逆に縦軸の1は日東駒専の合格率とMARCHの合格率が同じであることを意味します。


このグラフは概ね偏差値に対して負の相関が見られます。

つまり偏差値が上がれば日東駒専よりもMARCHに合格していくということです。

とはいえ縦軸の1を下回る高校は、偏差値70までの高校で6校のみです。

したがって高校のボリュームゾーンがMARCHに進学する高校は多くありません。

日東駒専よりもMARCHに進学することが普通、と言えるのは偏差値66程度の高校からと言えそうです。

偏差値65や66といえば、受験者層の上位6.7%にあたります。

ですから"MARCHは難しいのか"という本題に対する答えとして、

「難しい」

と結論づけたいと思います。

少なくとも世間でしばしば言われるような

「せめてMARCHには」

「本気出せば3ヶ月で受かる」

などと軽んじられる水準にないことは明らかです。


しばしば"高校の偏差値から5~15引いた偏差値が進学する大学の偏差値"という言を耳にします。

当ブログでも、その仕組を記事にしたことがあります。

偏差値60オーバーの高校のボリュームゾーンが日東駒専であるという事実を鑑みると、この言には妥当性があるように思えます。


 

以下は本題からは少しズレる話題です。

3つ目の日東駒専:MARCHのグラフは他2つのグラフと比較してバラつきが大きいことにも注目すべきです。

バラついている理由は色々と考えられます。

例えば学科別の入試の場合、偏差値の高い方を高校の偏差値として今回は採用していますので、合格数を稼ぐ理数科の有無が影響している可能性があります。

しかし普通科のみの高校同士を比較してもバラついているのもまた確かです。

例えば偏差値61を見たとき、ある高校は縦軸5.34で別の高校は1.09です。

この2校はどちらも普通科のみです。

具体的に見ると


     MARCH率  日東駒専率 

A高校 : 0.23     0.25

B高校 : 0.07     0.39


このように1人あたりの合格者数がMARCHと日東駒専で逆転しています。

A高校はB高校と比較してMARCHを得意としているわけです。

学校の雰囲気なのか、あるいは授業や宿題の質であるのか理由は分かりませんが、相対的にMARCHに受かりやすい(お得な)高校があるということです。


ですので高校がいくらの偏差値だからMARCHに行ける、行けないと二元論で考えるべきではありません。

どんな状況にいたとしても、置かれた状況での最善の選択肢はあるものです。





最後に私立最難関の早慶の合格率について見てみましょう。


~早慶合格率~




偏差値65以上で正の相関があるという点で1つ目のMARCH合格率のグラフに似ています。

しかし縦軸の数値に注目すると、決して同じようなグラフだとは言えません。

偏差値67~68の高校であっても在校生に対する合格者数は0.1を下回ります。

やはり早稲田・慶應は難しいですね....。

県トップレベルの高校のさらにトップ層が進学する大学と言えそうです。




~早慶:MARCH~




上のグラフは縦軸がMARCH合格率に対する早慶の合格率を示しています。

縦軸の0.25は早慶の合格率がMARCHの合格率の1/4ということです。

わずかにグラフがV字型であることに注目できるかもしれません。

つまり、偏差値60~65帯の高校はMARCHには受かるけど早慶には受かりにくく、むしろ低偏差値帯の高校の方が相対的に早慶を得意としているということです。


誤差と言われれば誤差に過ぎない差です。

しかし誤差でないとするとこれは常識と異なる事態です。

そもそも早慶の合格者は極少数ですので、倍率を計算する際の分母が小さすぎておかしなことになっている可能性が高いですが、あえて原因を考察するとします。


考えられる原因は2つです。

1つは、早稲田・慶應ほどの難関大学は良くも悪くも高校の平均的な学力水準から逸脱した生徒が合格する大学だから、というものです。

逸脱している子は学校の勉強に自分を合わせず、学校で扱わない内容を自分で学習します。

だから高校の偏差値が参考にならないという可能性があります。

もう1つは偏差値60~65帯の高校がMARCH対策に重点を置いている可能性です。

MARCHに向けた勉強の中身と早慶に向けたそれは異なります。

学校側がMARCHへの進学を重視し、一方でそれ以上の大学に向けた対策を疎かにしているかもしれないということです。


確かに60~65という偏差値帯は頑張ればMARCHに届くという絶妙な偏差値帯ですから、後者の可能性もあるのではないかと私は愚考します。

本当のところは分からないですし、そうであったとしても無自覚であるかもしれませんしね。

とはいえ、MARCHではなく早慶を目指すなら、学校の勉強はテキトーにこなせて自分の勉強に注力できる高校を選ぶのもアリかもしれません。






今回は以上です。

これから夏休みですね。

夏は受験の天王山。

全力を尽くして志望校に合格するための下地をつくりましょう!

それでは失礼します。

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